谷川俊太郎さんが逝去されたという知らせを受け、彼の詩を改めて思い返しています。初めて彼の肉声をテレビで耳にしたとき、その小さく控えめに聞こえる声の中に、広大な世界観が凝縮されているのを感じました。肉声にはその人の世界が現れる——まさに彼がその例でした。
谷川俊太郎さんの詩は、私にとって「安心して読める数少ない詩」の一つでした。短い言葉の中に、彼の生き様や哲学がにじみ出ていて、その一言一言が軽さと重みを同時に持っています。多くの詩が鑑賞に耐え得るものではないと感じる中で、彼の作品は際立った存在でした。その両義的だからこその深さが、私たちの心を捉え、問いかけ、あるときは道を拓き、また慰めてくれました。
彼の詩はこれからも多くの人の心に寄り添い続けるでしょう。その自由な世界観こそを通じて、谷川さんの詩は生き続けると信じています。